十布(テンプ)刺子織についてのお話
「刺子」とは、布地に図柄を刺繍して縫い込む手芸の技法です。
布目に沿って、一針一針規則的に刺していき、途方もない時間をかけて、
美しい幾何学模様ができ上がります
刺し子の歴史は平安時代や江戸時代にさかのぼります。
当時木綿は庶民にとって、とても価値高いものでした。
その貴重な木綿が小さな布でも、ボロボロになったとしてもはぎ合せにしたり、
重ね合わせて刺し子をする事で補強し更に保温性も高めたのです。
まさに刺し子の技法は当時の人々の知恵から生れました。
また、この保温・補強の機能性に加えデザイン性の高さも重要。
貴重な布を大切にしながら、お洒落に身につけるという生活の中に溶け込んだ美しい文化が垣間見えます
刺し子の作品は全国に見られますが、地域によって特性があります。
特に東北地方の【庄内刺し子】津軽の【こぎん刺し】【南部菱刺し】が日本三大刺し子として有名です。
今回当店が扱う十布(テンプ)さんの刺し子製品は刺繍して縫い込む刺し子とは異なり
機械を使って布に織り込んで行く刺子織という物です。
グラフィックデザイナーの福田利之さんと、刺し子を日本で唯一機械織りにした、三和織物の大峽健市さんとで開発されました。
三和織物の大峡健市さんは四代に渡って織物に携わる織物職人さん。
1979年には、日本民芸館賞を受賞
福島県伊達市に在住し今も尚織物をつくり続けています
それにしてもこの光景、素人目からは細い糸が絡みそうでハラハラ。
使い込まれたたでも丁寧に手入れされた、大きな機械。
こちらの機械で織り上げられていきます
以下大峽さんの説明、
たくさんの経糸を上下のどちらかにセットし、その間に複数の緯糸を入れ込んでいく。すると経糸の上と下に絡められるように緯糸が織り込まれ、それが柄のひとつの目となります
(十布さんHPより引用)
機械の強さやスピードを何度も調整し、布の目が美しく規則的に出る絶妙なバランスが見極められます。現在で1メートル織るのに約1時間もかかるそう
機械だからもっと早く出来ると思っていましたが、そう簡単な作業ではないのですね。
こちらはボール紙にパターンがプログラムされている「紋紙(もんがみ)」と言われるもの
穴が開いているか否かという情報で複雑な柄が綴られています。
紋紙1枚がひとつの目の情報を表すので、柄が大きく複雑であればあるほど紋紙の枚数が必要になるそうです。
多くても普段は480枚くらいで織るそうですが、今回はなんと912枚もの紋紙を使ったそう。
(十布さんHPより引用)
福田さんが大峽さんより説明を受けながら布の具合をチェックしてるひとコマ。
「刺子織というのは、規則正しい線を使った幾何学模様がベースなので、その中でどうやって個性を出していくか。図案を考える時に難しかったところです。考える時には、幾何学とは真逆にある自然界のものを考えました。具体的なものではないのですが、森や花をイメージしていました」(福田さん)
今回は十布の刺し子アイテムについてのお話でしたが如何でしたでしょうか?
私が思っている以上に、刺子織には長い歴史と時間、情熱が詰まったものだと知り、改めて大切に取り扱って行こうと思いました。